
◎不眠症の認知行動療法!
不眠症に対する治療には
幾つかの方法があります。
その中で標準的な治療法と推奨されているのが、
「認知行動療法」というアプローチです。
認知行動療法とは、
問題や症状の維持要因となっている
その人の考え方(認知)や振る舞い(行動)を
把握して、対策をとる心理療法です。
特に行動による”癖”を見抜き、
それに対する対策を施します。
その”癖”が睡眠を阻害している
身体的および心理的要因であれば、
それを取り除いていきます。
特に心理的要因であれば、
それを本人に理解させた上で、
取り除かねばなりません。
こういった”癖”は本人のルーティン、
つまり「日常」になっていることが多いのですが、
それを取り除くとむしろストレスになり、
余計に眠ることができなくなります。
そこでしっかり話し合い、説明して、
睡眠阻害要素を取り除く必要があります。
そして認知行動療法には3つの対策があります。
「刺激制限法」
「睡眠制限法」
「睡眠スケジュール法」
です。
以下では「刺激制限法」について説明します。

◎刺激制限法!
認知行動療法の一つに「刺激制限法」があります。
これは眠るための環境ができていないために
不眠が起きているという考え方のもとに、
「不適切な行動」をやめさせる睡眠法です。
睡眠を阻害する行動を把握させ、認識させて、
それと違う行動をとらせるようにします。
睡眠を阻害する要因はいくつかあります。
光、音、匂い(悪臭)、温度、寝具、飲食等々。
実際に対象者と話し合いを行い、日常生活から
そういった睡眠を阻害する要因を取り除きます。
ここでは
「睡眠を阻害する要因」=「刺激」ととらえて
この刺激を制限することで、
睡眠をしやすい環境を作ります。
明るくて眠れない時は、部屋を暗くするように、
音が気になる時には、その音をなくすように、
寝る直前まで食事をしている人は、
消化が睡眠を阻害していることを説明する。
こういったことを積み重ねて、
睡眠しやすい環境をつくるのです。
因みにある人は、
ずっと眠れなくて困っていたのですが
その理由が「カチカチ」という時計の音でした。
そこで時計を液晶のデジタル時計に変えたところ
ぐっすり眠ることができました。
こういった積み重ねが
睡眠しやすい環境をつくるのです。

◎寝床では眠る!
ところで
睡眠を阻害する要因=刺激を取り除く、
と書きましたが、
それはある程度軽度の不眠の場合です。
不眠状態が続くと、寝床が苦痛になります。
つまり眠れないのに、ずっと寝床に居る。
早く寝なければいけないと悩みながらも、
眠くならないのに寝床に居なければならない。
こういう状態は焦燥感にかられます。
体が熱くなって、汗をかき、心臓がドキドキして、
早く寝なければと気ばっかり焦る。
こういうことが続くと、
「寝床=緊張する場所」という
先入観ができてしまいます。
そうならないためには
眠くなってから寝床に入る癖をつけることです。
眠くならないうちには寝床に入らず、
眠くなってから寝床に入る。
そういう癖をつけることで、
寝床に入る=眠くなる
という動機づけになります。
睡眠を阻害する要因=刺激を取り除き、
眠くなってから寝床に入る。
これをしっかりすることで、
スムーズに眠ることができるようになります。
