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逆説性不眠!


不眠症の中には面白い現象があります。


それは自分が不眠症であり、
毎日眠れないと訴えいる人が、
実際にはよく眠っていることがあります



ある人はもう何年も眠っていないと訴えますが、
何年も眠らないということはあり得ません。


その前に死んでしまいます。




実験によると、2週間程度眠らないと、
脳が破壊されて死に至ります。


眠るということは、
脳を休めるためでもあります。


つまり脳が休まらず、
負担が大きくなって最終的に死に至るのです。




つまり何年も眠っていないということは

あり得ないのです




このように科学的に測定すると
十分に睡眠をとっているにもかかわらず、
自覚的にはほとんど眠れなかったと述べる現象を



逆説性不眠



と言います。





これは特に不眠が慢性化した人に
起きる症状です。



この逆説性不眠は
独立した病態であるかどうかについては
議論があるものですが、



不眠症患者の中には多い症状なのです。


そして悪いことに、
本人は本当に眠れていないと思っているのです。






元々不眠症は身体的な影響がある病気です。


つまり眠れないことにより、
注意力が散漫になったり、疲労感が増したり、
そういったことが問題でしたが、



慢性化すると、
心理的な焦燥感が課題となります。


眠れないことによる焦り、緊張感、不安感などが
精神的、心理的に負担になっていきます。




このように考えると、
実際に眠れていても、眠れていないと考える
逆説性不眠は心理的負担があるという意味で、


通常の不眠と同様に治療の対象となります




ネコ11





逆説性不眠はどうして起きるのか?



では逆説性不眠は
どうして起きるのでしょうか?




ある患者は主観的な睡眠時間は30ですが、

機械で脳波を測定したら、418寝ていました。



418分、つまり時間寝ていたのです。


これは十分な睡眠時間だと言えるでしょう。


しかし本人の評価では30分です。



30分しか寝ていないと評価するのであれば、
睡眠時間は全く足りていません。






この主観と客観のは何でしょうか?





これは時間認知機能の異常が関与しています。



時間認知機能は、
脳による認知システムによって決まってきますが、
ここで睡眠時間を認知することができます。



この時に睡眠時間を認知するシステムは

徐波睡眠の量によって時間を認知します。


徐波睡眠=つまり深い睡眠です。



睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があり、
「レム睡眠」は浅い睡眠。
それに対して「ノンレム睡眠」は深い睡眠です。


このノンレム睡眠にも4段階あり、
そのうち3~4段階の睡眠は非常に深い睡眠です。

詳しくはこちらを参照してください。
http://kaitekisuimin01.com/archives/1101228.html


この時に脳が休みます。


この3~4段階のノンレム睡眠のことを、
脳波が緩やかになることから「徐波睡眠」と言い、
不眠症対策では特に重視する睡眠です。


簡単に言うと「ぐっすり寝る」のです。




実は逆説性不眠を訴える人は、

この徐波睡眠が少ない人なのです。



特に不眠の慢性化が起きている患者は、
逆説性不眠が起きるというのは、



不眠が慢性化した人は深い睡眠ができていない。
少なくとも実感できない。



そのために眠れていないと思い、

逆説性不眠を訴えるのです。





逆説性不眠は実際には寝ているのですが、

深い睡眠ができていない。


それは脳を休めるには不十分です。



逆説性不眠はそういう意味で、
脳からの悲鳴なのかもしれません。


ネコ10