皆さんよく眠れていますか?
このブログでは読んでいただいている方に、
快適な睡眠ができるような情報を提供しています。
◎旅枕
明治時代には多くの外国人が来日した。
彼らの何人かはお雇い外国人と言い、
日本に先進技術を教えていった。
その中の一人にエドワードモースがいる。
彼は動物学者で、東京帝国大学でも教鞭を握った。
日本に初めてダーウィンの進化論を
体系的に紹介したのも彼である。
その彼の名を一躍有名にしたのが、
大森貝塚の発掘である。
その彼は日本の就寝文化についても
独特の解釈をしている。
彼はこう言っている。
「日本人は枕を持ち歩いて旅をする」
これは「旅枕(たびまくら)と言って、
木製の旅行用携帯カバンである。
これには引き出しがついていて、
櫛やそろばん、ロウソクなど身の回りの品が
コンパクトに収められている。
彼にはそれが不思議だった。
モースには
「日本には必需品は少ない」
と考えていた。
それはどういうことか?
◎万能の和室!
日本の和室には万能性がある。
必需品がほとんどなくても、
そこに少ない何かを持ってくると様変わりする。
例えばちゃぶ台を持ってくると、
そこは食堂になるし、
それを片付けると、くつろげる場所になる。
そして布団を持ち込むと、
そこは寝室になる。
彼は旅をする日本人を見て、
「ベッドごと旅をしているようだ」
と述べている。
枕を持参すると、和室は急に寝室に早変わりする。
その万能さをモースは指摘しているのだ。
アメリカでは寝室や食堂は分離されている。
また家族がくつろぐ部屋も別にある。
これはアメリカが広大な国土を持っていることと
関係がある。
つまり日本では国土が狭く、密集しているので、
コンパクトな作りをせざるを得ないが、
アメリカは広大な面積があり、
隣とも接していないので、多様な部屋を作れる。
◎納戸、押し入れ!
モースはまた、「押し入れ」にも強い関心を持つ。
このようなコンパクトで、それ故に万能な部屋は
他方で、押し入れのような部屋を必要とする。
押し入れは部屋についているものだが、
元々は納戸(なんど)と呼ばれる閉鎖空間だった。
納戸は外付けされているものだが、
それをもう少しコンパクトにして、
部屋に付属させたのが押し入れとなる。
ここには布団などを入れるが、
それは少数の必需品を入れることで、
部屋を万能に使う日本文化からすると、
必要不可欠のものである。
布団を出すと寝室になるということは、
「布団をしまう場所」も必要となる。
それが昔は納戸であり、のちに押し入れになる。
畳敷きの文化である和室。
これは素早く寝室にも様変わりすることが
求められている。
そのためには変化させるための小物を
収納するためのスペースを必要とする。
和室とは万能のモノ
そして少数の小物や必需品を入れ替えることで
素早く他の用途に利用できるもの。
エドワーズモースは和室をこのように捉えていた。