◎災害時ストレスによる不眠!
現在、九州の大分を中心に
水害が発生しています。
テレビでは、
連日このニュースを流しています。
九州では集中豪雨および
それによる土砂災害等によって、
多くの犠牲者が出ていますが、
これは死傷者のみを指すのではありません。
被災後の精神的ショックによる
不眠症状にもその影響は表れます。
地震や台風等の自然災害や、
テロリズム等の人為的災害などで、
大規模災害後は不眠に悩む人が続出します。
1995年の阪神淡路大震災では、
被災中心地に住んでいて、その後は
避難生活を余儀なくされた住民において
発生3週間後の時点では6割近い人が
何らかの不眠症状を訴えています。
また2004年のスマトラ沖地震の際にも、
発生後6週間後でも、同じく6割の人が
不眠症状を訴えていますし、
隣接地域でも5割の人が不眠になっています。
不眠は災害に出逢ったことによる
ストレスから発生します。
その精神的なストレスが、
人々に緊張状態を強いて、
不眠症状を発生させることがあります。
そしてストレスには
「一次ストレス」と「二次ストレス」があります。
◎一次ストレス
一次ストレスとは
災害による直接的なストレスです。
それは身体的なケガなどの直接被害、
親族や友人の死傷、また家や家財などの
損傷・紛失などが考えられます。
自身が直接的にケガをしても、
また親しい人の死などの影響は
深刻な不眠症状をもたらします。
また長年の努力によって築き上げた財産や
建物などを一瞬のうちで壊れることも
自己の人生を否定されたかのような
強烈なストレスになります。
こういったストレスを
一次ストレスと言います。
ただし生理学的には、事件直後の不眠は、
不快な記憶の脳への定着を防ぐ効果があり、
必ずしも否定するものではありません。
むしろのちの影響を考えると、
治療の必要が無いものとみなします。
◎二次ストレス!
災害後の環境の変化や
環境の悪化によるストレスを
二次ストレスと言います。
災害により、ケガをしなくても
生活基盤が失われることがあります。
そのため急激な生活環境の変化、
それも悪化に対するストレスが起きます。
ケガなどは時間が経つと
むしろストレスが減少しますが、
生活環境の変化は時間とともに
ストレスが積み重なってきます。
阪神淡路大震災では
約25万棟の住居が全・半壊しました。
それにより多くの不眠患者を
生むことになりました。
特に初期では、学校の体育館などで
生活を余儀なくされます。
プライバシーもない、冷暖房のない状態で
生活をしなければなりません。
特に睡眠に関しては環境の変化の影響が激しく、
もしホテルのような場所でも
睡眠に影響を与えることがあります。
大規模災害に巻き込まれた場合、
特に日本では災害救助は
比較的スムーズに行われますが、
それでも深刻な二次ストレスは発生します。
現在の九州地方で災害に巻き込まれた人達も
深刻な不眠に悩まされているかもしれません。
一日も早い
日常生活の回復を願っています。